るきなの独り言

何かと考え込むので発散します

ハイブランドが儲かる理由

 

ルイヴィトン 長財布 M62369 LOUIS VUITTON ポルトフォイユ エミリー モノグラム アンプラント ノワール [並行輸入品] Xboun

 どうも、カツ丼が好きです。ルキナです。

 ハイブランドはなぜ高い営業利益率を出し続けられているのでしょうか。正直、異常値とも言っていいほどの営業利益率を叩き出しています。そもそもですが、営業利益率についてお話しすると、簡単に言えばどれだけ儲かっているかの指標です。

 例えば、年間1億円売り上げた時を考えます。原材料・人件費・その他費用に掛かった金額は9500万円として、売上から費用(9500万円)を差し引いた額は500万円になります。これが利益です。つまり、営業利益率は、500万/1億=0.05。百分率に直すと、5%になります。この場合の営業利益率は5%です。

 ちなみにですが、日本の営業利益率の平均がどの程度かご存じでしょうか。小売業に関して言えば、2.8%です。一方、ハイブランドはどのくらいでしょうか。

・Dior:26% (2022年)

Louis Vuitton (ルイヴィトン):26% (2021年)

HERMES(エルメス):39% (2021年)

 これを見て、「ブランド名でぼったくりしてるやん」って思いますよね。でも、ブランドについて考えてみるとよく考えてるなーって思います。では、目次です。

 

1 ハイブランドとは

 ハイブランドとは、一般的には高品質な素材を使用し、高級感と洗練されたデザインをしていると認識されています。ハイブランドは当たり前ですが、高価格帯で展開されており、限定的な生産量で販売されることが一般的です。そのため、高い希少性と独自性があるため、消費者にとっては、所有することが特別なステータスとなることが多いです。また、ハイブランドは、独自のブランドイメージを構築しており、ブランドのロゴやデザインが特徴的であることも多いです。ハイブランドはブランドのロゴだけでぼったくりなのでしょうか。かなりイージーなビジネスなのでしょうか。ルキナはブランドに学ぶべきものがあると思っています。

 

 ちなみにハイブランドの起源は、フランスを中心にしたヨーロッパの高級ファッション産業にあり、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、フランスの高級ファッションブランドが次々と誕生しました。その後、他の国々でもハイブランドが誕生し、世界中で人気になりました。

 

2 独自性の追求による付加価値の高さ

 ハイブランドにも競合はいるはずで、百貨店などを見に行けば分かります(コスメとか何が違うのかわからないレベルにたくさんある)。ですが、女性に聞くとこのブランドのこれが良いとかあるみたいです。ブランド力のある会社だからと言って、競合他社がいないわけではありません。冒頭で言った、Diorやルイヴィトンもライバル企業はいます。ですが、その中で異常なほどの営業利益率を叩き出しているのはなぜでしょうか。それは、「付加価値」があるからです。

 

2-1 ブランドイメージの重要性

 皆さんは、ブランドと聞いてどのようなイメージがあるでしょうか。「高級感」「高品質」「憧れ」といったものがあると思います。では、そのイメージはどのようにして形作られているのでしょうか。

 「高いものを売っている=ブランド」にはならないはずです。ここが企業の戦略ポイントで非常に興味深いところです。

Tiffany & Co.(ティファニー)とCartier(カルティエ)の違い

 皆さんは、ティファニーカルティエの違いを明確に言えるでしょうか。ティファニーカルティエは同じような製品を展開しておりますが、それぞれのブランドメーカーに対してのイメージは僅かに異なります。言語化するのが困難ですが、何となくティファニーってこんな感じ、カルティエはこんな感じという感覚を持っています。ルキナの中では、ティファニーよりカルティエの方が少し派手な感じ、という感覚です。

 何が言いたいのかというと、ハイブランドは消費者に対して、「私たちの扱う製品はこんな感じなんですよ」というイメージを明確に構築してもらわなくてはならないという事です。そのイメージがブランドの価値になるわけです。

このブランドを購入する=私はこんなイメージの人として周りからみられる」という概念がそこに誕生するわけです。

 では、どのようにしてブランディングをしていくのでしょうか。しかも、明確に言語化することが難しい内容を具体的に落とし込んでいくわけです。どのようにイメージを構築していくのかというと、全てです。店舗を構築しているもの全てに注力する必要があります。

  • ブランドイメージを壊さない製品ラインナップ

  • 広告

  • 製品のパッケージ

  • 内装や接客マニュアル、制服

これら全てを1つのイメージに一貫できていることに非常に感心します。曖昧なイメージを一貫できているからこそ、ブランドは強い力を持っているのだと感じます。

 

ハイブランドがアウトレットへの出店を躊躇する理由

 おそらく察しが付くかと思いますが、アウトレットモールへの出店はかなり勇気のいる選択になることが予想できます。

 仮に、ハイブランドが圧倒的な高価格帯を維持してアウトレットに出店したとしても、大衆は「アウトレット=安価」という認識があり、それにより一気にブランドのイメージが崩れる可能性もあります。逆に、アウトレットに出店して圧倒的な存在感・高級感を演出することができれば、「やっぱり高級だな」「レベルが違うな」という認識を持たせたまま顧客を拡大できる可能性もあります。その良い例がGUCCIだと感じます。ブランドイメージを一定以上保ったまま顧客拡大をすることができています。アウトレットモールでの販売に際して、アウトレット限定商品などを提供することで、既存の顧客を満足させるとともに、新たな顧客を獲得することに成功しています。

 

2-2 高価格帯での販売戦略

 高価格帯での販売戦略は、一見すると消費者にとってハイブランドの商品を手に入れることが難しくなってしまうように思われるかもしれませんが、実際にはブランドにとって重要なメリットがあります。もちろん、デメリットもあります。


2-2-1 高価格帯での販売戦略のメリット
・高品質な商品が提供できる

 高価格帯で販売することで、ハイブランドは高品質な素材や製法を用いた商品を提供することができます。高品質な商品は長期間にわたって利用することができ、耐久性が高いため、消費者からの支持を得ることができます。

 

・ブランドイメージの向上

 高価格帯での販売戦略は、ハイブランドのブランドイメージを向上させることができます。高価格帯で販売することで、ハイブランドは、製品が高品質であること、ブランドイメージが高いことをアピールすることができます。高品質な製品を提供することで、ブランドの価値を高めることができます。

 

・競合他社との差別化

 競合他社との差別化にもつながります。同じ商品を安価な価格で販売することができるライバル企業が多い中、高価格帯での販売戦略は、ブランド価値を高めることができます。高品質な商品を提供することで、他社との差別化を図ることも戦略の1つです。


2-2-2 高価格帯での販売戦略のデメリット
・ターゲット層の限定性

 高価格帯で販売することで、高級感やブランド価値を演出できる反面、一定の経済力がない層には手の届かない価格帯になってしまいます。そのため、潜在的な顧客層を狭めることになります。しかし、これはメリットと表裏一体で、顧客の幅を狭めるような選択は、限られた資源を最適化することができ、高い品質と高い価値を提供することができるというメリットがあります。ですが、顧客の幅を狭めるのは非常に勇気のいる選択です。

 

・値下げができない

 価格が高いという理由で、消費者が購入を躊躇することがあります。また、一度高価格帯に位置づけられた商品が、価格競争のために値下げをすると、ブランド価値やイメージの低下を招く可能性があります。ブランドのイメージ悪化は何が何でも避けなくてはならないことで、ハイブランドは値下げができません。価格以外の価値の創造に全集中する必要があるわけです。

 

・需要の変動への対応が困難

 高価格帯で販売することで、需要の変動に敏感になります。経済状況の悪化や、消費者の価値観の変化によって需要が減少する場合、在庫の滞留や売上減少が起こり、販売戦略の見直しが必要となります。つまり、コロナによる自粛などの影響を受けるわけです。特にこれからの時代、人と人が直接会う機会が減ってしまった場合、ブランドを持つ価値が減ってしまいます。ブランドの価値が無くなることはないと思いますが、これからの時代はハイブランドとしての新たな立ち位置が必要になることは必至でしょう。

 

3 営業利益率が高いから、ぼったくってるんじゃないの?

 営業利益率が高いからぼったくりをしているということではありません。

 例えば、1万円のものが売られているとします。A社はその製作に9500円(営業利益率5%)かかっていたとしても、B社はその製作に8000円の費用(営業利益率20%)で済む場合があります。A社とB社の違いは原料費なのでしょうか。原料費以外を削減している場合は、それは企業努力というものです。儲けているには訳があります。

 

3-1 垂直統合とは?

 製作費用を削減する手段として、垂直統合があげられます。垂直統合とは、簡単に言えば企業が自社で生産ラインを一貫して保有することを指します。つまり、製品開発から製造、販売、流通、そして消費者へのアフターサービスまで、すべてを自社で管理することを意味します。この垂直統合モデルを取り入れることによって急成長した会社としてユニクロが知られています。

 製造業に携わっていない人はあまりピンと来ないかもしれませんが、自社でできないことを他社にお願いすることは本当に良くあります。これを「外注に出す」と言い、外注費用は内製(自社で行う)に比べてコストがかかるものです。内製化はコストダウンに大きな恩恵があります。


3-2 垂直統合の強みとは?

・品質管理の向上

 企業は生産ライン全体を把握し、品質管理を徹底することができます。自社で品質管理を行うことによって、製品の品質に一貫性を持たせることができ、ブランドイメージの向上につながります。

 

・生産効率の向上

 垂直統合によって、企業は自社で必要な工程を完了できるため、生産効率を高めることができます。自社で生産することによって、外部の業者とのやりとりや調整が必要ないため、生産期間や納品スケジュールを柔軟に変更することができ、生産の合理化が可能になります。

 

・外部の影響を受けにくくなる

 企業は外部からの影響を受けにくくなります。例えば、外部の工場で生産している企業は、その工場が停止してしまった場合には製品の供給がストップしてしまいますが、垂直統合によって自社で生産している場合にはその心配がありません。また、外注業者に生産を委託する場合には、その業者の倒産などによって企業に支障が出る可能性がありますが、自社で生産している場合にはその心配がありません。

 

・顧客サービスの向上

 垂直統合によって、企業は自社で全ての製品に関する情報を把握し、顧客サービスを向上させることができます。顧客からの問い合わせに対して的確かつ迅速に回答することができるため、顧客満足度の向上につながります。また、顧客からの要望を反映しやすく、より顧客に求められている製品の開発が可能です。

 

3-3 垂直統合を採用しているハイブランド

ルイ・ヴィトン (Louis Vuitton)

 ルイ・ヴィトンは、自社で原材料調達から製品の生産・販売までを一貫して行っています。革製品や布製品を中心に扱っており、素材の仕入れから加工、製品の製造、販売、修理まで全て自社で行っています。また、一部の工場では伝統的な手作業で製品を作り上げています。

 

エルメス (HERMES)

 エルメスも同様に、原材料調達から製品の生産・販売までを一貫して行っています。特に革製品に強みを持っており、自社で牧場を運営しているほか、素材の仕入れから加工、製品の製造、販売、修理まで全て自社で行っています。また、靴やアクセサリーなども自社で製造しています。

 

・グッチ (GUCCI)

 グッチも自社で原材料調達から製品の生産・販売までを一貫して行っています。特に革製品やアパレルに強みを持っており、自社の革製品工場で素材の仕入れから加工、製品の製造、販売、修理まで全て行っています。2018年には靴の生産を内製化するために、イタリアに新しい工場を建設すると発表しています。*1

 

4 まとめ

 ハイブランドは、単に高価格帯の商品を提供しているだけではなく、その背後に様々なブランディング戦略があることがお分かりいただけたと思います。製品の品質やデザイン、広告や宣伝戦略、店舗の内装や接客など、多岐にわたる要素が総合的に作用して、ブランドイメージを構築しています。また、ハイブランドは、自社のブランドイメージを維持するために、製品の価格や出店先についても慎重に選択しています。このような企業努力により、ブランドイメージを壊すことなく、長期的なブランド価値を高めていくことができるのですね。逆に言えば、ブランドイメージが崩れたら終わり、ということですね。

 ただし、ブランドに魅了され過ぎないように注意ですね。